配合飼料の作り方(その8)

(その8)

この表は、配合飼料でよく使われる穀類(トウモロコシ、小麦、大麦、玄米)に含まれている栄養成分と豚における消化率を示したものです。
この表でわかるように、大雑把に穀類と言っても、それぞれに含まれている成分量や消化率には結構差があるんです。例えば、粗たん白質の乾物量(含まれている水分を除いた値のことでDM(Dry Matter)で示されます)は、トウモロコシでは8.8 %、小麦では13.7 %、大麦では12 %、玄米では8.8 %で、トウモロコシや玄米の粗たん白質含量は小麦の2/3程度なんです。さらに、穀類は天然物なので、当然、成分量には変動があるし、産地や収穫された年の天候等によっても変動します。このため、飼料工場では主要な飼料原料については頻繁に成分を分析をして、実際に自分の工場で使っている飼料原料の成分量を把握しているんです。

表の一番下にあるTDNっていうのは?

 

TDNは英語のTotal Digestible Nutritionの略なんですが、日本語では「可消化養分総量」と言います。これは、読んで字の如くで、与えた飼料に含まれている栄養分の中で消化可能な量のことを言います。実際には、粗たん白質、粗脂肪、NFE(可溶無窒素物=デンプン)と粗繊維の可消化量(各栄養素が実際に消化される量のことで、各成分の含量に消化率をかけて計算します)を合算して求めます。具体的な計算式は、[TDN = 可消化粗たん白質 + 可消化粗脂肪×2.25 + 可消化粗繊維 + 可消化NFE] です。可消化粗脂肪のところだけ2.25倍にしてあるのは、脂肪は体内で発生する熱量が大きいからなんです。TDNは、大まかに云えばその飼料原料が持っている全体のエネルギー価を把握するための値ということになりますね。

それぞれの成分の消化率を求めるためには、この図のように6頭くらいの豚に対して試験対象の試料、例えば、トウモロコシだったらトウモロコシを与えた試験を行います。豚の用いた試験の場合、豚の消化管内に残っている試験を開始する前に与えていた由来の内容物と完全に置き換わるまでに1週間くらいかかるので、1週間程度トウモロコシを与えたあとの3~5日間に排泄された糞をサンプリングします。この糞を乾燥、粉砕してから分析して、採糞期間中に食べた成分量と糞に排泄された成分量から計算して求めます。動物の準備を始めてから消化率を求めるまでに最低で1か月くらいかかるけっこう大変な試験になるんですよ。

さっきの表の中でトウモロコシ、小麦、大麦、玄米でそれぞれの成分の消化率が違っているということは、それぞれ毎に消化試験を行っているということですか?

 

 

その通りす。ここで示した穀類だけではなく、日本で使われている主な飼料原料については、それぞれについて消化試験を行って消化率などを求めています。その値を基にして配合飼料の栄養価などを表示しているんです。余談になりますが、私たちが食べている様々な食品には熱量(エネルギー)の表示が義務付けられていますが、この値は米国の栄養学者のW. O. Atwaterが1885年に提案した「修正アトウォーター係数」を用いて計算しているんですが、この係数は、たん白質、脂肪、炭水化物を食べたときに、体の中で発生する熱量(たん白質:4.1 kcal/g、脂肪:9.3 kca/g、炭水化物:4.1 kcal/g)に、それぞれの消化率(たん白質:91%、炭水化物と脂肪:96%)から求めています。ここで用いている消化率もW. O. Atwaterがさっきの豚での消化試験と同じ試験をヒトで行って求めたものなんです。

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