配合飼料の作り方(その5)

(配合飼料に使われている原料について)

それでは、今回から、配合飼料に使われている原料について少し説明しましょう。

この表では、配合飼料に使われている原料を「穀類及びその加工品」、「植物性油粕類」、「動物質性飼料」、「その他」に分けていますが、まず、「穀類及びその加工品」です。これは、読んで字のごとしで、穀類はトウモロコシや、マイロ(コーリャン、ソルガムとも呼ばれていますね)、コメ、小麦など、身近なものですよね。穀類には炭水化物(でん粉)が50~60%以上含まれていて、飼料のエネルギー源としてして使用されています。家畜用の飼料原料として最も多く使われているのがトウモロコシで、この表のブロイラー後期用の配合飼料では少ない飼料でも40%、多いものでは62%(平均:46.6%)配合されていますし、卵を産ませる産卵鶏用の配合飼料では平均45.6%、子豚を元気に成長させる子豚育成用の配合飼料では51.8%、豚を太らせる肉豚肥育用の配合飼料では55.5%と、配合飼料のほぼ半分はトウモロコシからできているんです。(トウモロコシについての詳しい話はこちらをご覧ください)

穀類の加工品というのは、これらの穀類を加工したものや、加工の際にできるもので、トウモロコシからコーンスターチ(トウモロコシでん粉)を製造する際にできるコーングルテンミールやコーングルテンフィード、トウモロコシを発酵させてエタノールを製造する際にできるDDGSなどがあります。また、コメを精米する際に出てくる「米ぬか」や、小麦を精麦する時に出てくる「ふすま」なんかも配合飼料の原料として使われていますし、パン屋さんやお菓子屋さんの製造工程から出てくるパン粉や菓子粉も使われています。

「植物性油粕類」っていうのは?

 

「大豆油かす」や「ナタネ油かす」などを植物性油粕類と呼んでいます。「大豆油かす」は大豆から大豆油を搾った残りの部分、「ナタネ油かす」はナタネから油を搾った残りの部分になります。例えば、大豆には脂肪が約20%、たん白質が約35%含まれているんですが、ここから大豆油を搾ると、残った大豆油かすのたん白質含量は45%以上に高まることから、家畜の体たん白質を合成するために必要なのたん白質源として非常に重要な原料になっています。なお、スーパーマーケットなどの食用油の売り場で、カノーラ油というのを見たことがあると思いますが、カノーラというのはナタネの一品種のことで、昔はナタネの中に遊離ゴシポールという有害な成分が入っていたため配合飼料の原料としては使い勝手が悪かったんですが、カナダで品種改良されて、有害物質の含量が少ないカノーラ種というナタネが作られました。今は、これをメインで使うようになっているので、飼料業界ではカノーラ・ミールなどとも呼んでいます。

余談になりますが、イヌやネコが食べるドッグフードやキャットフードにも、たん白質源として「大豆油かす」や「ナタネ油かす」が使われていますが、飼い主の方々から「うちの可愛いワンちゃんやネコちゃんのフードに「カス」をつかうとは」というクレームがあるせいか、ドッグフードやキャットフードの原料表示では「大豆ミール」や「なたねミール」などと書かれているんです。まあ、英語ではSoybean meal、Rapeseed mealっていうわけなので、こっちのほうが正しいのかもしれませんね(笑)

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