FAQ

このコーナーでは、畜産や飼料製造などに関して、よく聞かれるご質問にお答えします。
下記の質問をクリックしてください。回答をご覧になれます。

飼料原料について

Q. 飼料原料に含まれる可能性のある有害物質に関する安全性はどのように確保されているのですか?

ヒトまたは家畜等の健康に悪影響を及ぼす可能性がある危害要因について、農林水産省では残留農薬、かび毒(アフラトキシンB1、ゼアラレノン、デオキシニバレノール)、重金属等の化学物質(鉛、カドミウム、水銀、ひ素)について基準値を設定しています。

わが国では、飼料原料の多くを輸入に依存していることから、飼料原料の輸入段階からこれらの有害物質の混入を防ぐために「飼料等への有害物質混入防止のための対応ガイドライン」が制定され、飼料原料を取り扱う各業者ではこのガイドラインに基づいて、基準の遵守状況の確認と記録、品質管理・苦情処理・回収処理の手順書の作成とそれらに基づく業務の遂行、輸送及び保管に関する手順書の作成とそれに基づく業務遂行、教育訓練の実施と記録、サーベイランス・モニタリングへの協力などを行っています。

Q. 遺伝子組換え体飼料原料の安全性はどのように確保されているのですか?

わが国で遺伝子組換え農作物を飼料原料として利用する場合、海外の多くの国と同じように使用する前に農林水産大臣の認可をとる必要があり、安全性に関する審査が終了し、農林水産大臣により認可された遺伝子組換え農作物だけが、飼料原料として流通・販売できることになっています。
また、この審査と併行して、遺伝子組み換え農作物が給与された家畜・家禽から生産される畜産物の安全性に関しても食品安全委員会が行なうことになっており、OECD(経済協力開発機構)およびCodex食品規格委員会の考え方に準じて、以下の3点に焦点を当てた評価が行なわれています。
(1)その飼料作物中に組換え体由来の有害物質が生成されないか、また、それが畜産物(肉、乳、卵等)に移行する可能性はないか
(2)家畜の体内で、遺伝子組換えに由来する成分が有害物質に変換され、それが畜産物に蓄積する可能性はないか
(3)遺伝子組換えに由来する成分が家畜の代謝系に作用して、新たな有害物質を産生する可能性はないか
なお、トウモロコシのように飼料原料としてのみではなく、それ自体が食用としても利用される遺伝子組換え農作物については、飼料原料としての安全性評価だけではなく、食品としての安全性についても同時に評価が行われることになっています。
 
現在、わが国で飼料原料として使用が認められている遺伝子組換え体飼料原料はこちらでご覧いただけます。

Q. 米国から輸入されているトウモロコシの安全性はどのように確保されているのですか?

トウモロコシを確実に日本に輸出するために、米国では強固で透明性の高い安全性確保システムを整えています。米国では、農薬の適正な使用に基づいた残留基準値の設定と順守、そしてその監視システム、カビ毒などの環境汚染物質の管理と監視のシステムを持っています。
また、遺伝子組換えトウモロコシについても、科学的で適切なリスク評価に基づく安全性評価が行われています。現実に栽培、流通されている遺伝子組み換え作物については、食品、飼料としての利用、また、生物多様性をはじめとする環境へのリスクや影響は、限りなくゼロといえます。

米国における輸出用トウモロコシに関するマイコトキシン(アフラトキシン)汚染管理状況

米国からわが国に輸出されるトウモロコシに関して行われているアフラトキシンの管理状況を調査した内容(PDF:4.33MB)がご覧いただけます。

Q. 遺伝子組み換えトウモロコシはどのくらい作られているのですか?

2019年の遺伝子組換え作物の米国での作付面積は、トウモロコシでは全作付面積の92%、大豆では94%、綿では98%にのぼっています。
米国での非遺伝子組換えトウモロコシは、トウモロコシ生産量の約8%を占めているにすぎませんが、日本の一部食品原料、また家畜飼料市場に向けて輸出されています。これは食品などとしての利用に関する安全性の問題ではなく、市場の要求に応えるものですが、主に河川や鉄道を利用した効率のよい国内輸送システムを含む確固としたインフラを基盤とした分別流通が、年間約200万トンと推定されるこの市場への対応を可能にしています。この分別流通トウモロコシを別にすれば、米国内で生産され流通しているトウモロコシは農場の段階から輸出港、そして日本での利用現場に至るまで、「穀物トウモロコシ」として特に区別せずに流通しています。逆に、単純計算すれば分別流通される非遺伝子組換えトウモロコシを除いた約1000万トンの米国産輸入トウモロコシの92%にあたる約920万トンが遺伝子組換えトウモロコシであるということになります。

Q. 日本ではどれくらいのトウモロコシが使われているのですか?

日本が海外から輸入しているトウモロコシは年間約1500万トンで東京ドームのおよそ20杯分に相当します。
このうちの約95パーセント以上を米国産が 占めています。これらのトウモロコシは、積載量がパナマックスと呼ばれるタンカーで粒のままで運ばれてきますが、このタンカー1隻が積むことのできるトウモロコシは約5万トンですの、単純計算すれば3日に2隻のパナマックスに満載されたトウモロコシが輸入されていることになります。なお、これらの1500万トンのトウモロコシのうち、飼料用は約1200万トン、残りは食品やデンプンの原料として加工されて使われています。

米国産トウモロコシの20粒に1粒は日本に輸出される


出典:各種統計をもとに作成

このように、大量にトウモロコシが使われているにもかかわらず、輸入されたトウモロコシは家畜飼料や食品原料として使われるているため、工場で加工されてしまうため、粒のトウモロコシを消費者が直接目にすることはほとんどありません。「大きなタンカーで海外から運ばれ、工場で大量に加工される」という、トウモロコシの流通にかかわる巨大なインフラの上に私たちの食生活は成り立っているにもかかわらず、私たちはトウモロコシについて思いをはせることはほとんどありません。このような、私たちの目に直接触れることがない「見えないインフラ」があまりにもスムーズに動いているため、それが「当たり前」のこととして受け止められてしまっているからです(「科学技術と社会~遺伝子組換え作物を素材とした検討~」三石誠司(日本学術会議公開シンポジウム「遺伝子組み換え作物とその利用に向けて」2010年8月6日)講演要旨集 から)。

クイズ

Q. 家畜用飼料原料として最も多く使われているトウモロコシはどのように生産されているのですか?

米国農務省の資料(http://www.usda.gov/oce/commodity/wasde/latest.pdf)によると、2015年現在、年間およそ7億トン強の小麦、5億トン弱の米、13億トン弱の粗粒穀物(そのうち10億トン弱がトウモロコシ)、言い換えれば、人間の体重50キログラムとすると、500億人以上の人間の体重に相当する穀物が生産されていることになります。全世界の人口は現在約70億人であることを考えると、これらの穀物がすべて人間によって消費されているわけではないことがわかります。。粗粒穀物の全世界での生産量は13億トン程度ですが、トウモロコシはそのうちの10億トン近くを占めます。トウモロコシの中で多くの日本人になじみが深いスイートコーンは、実は世界のトウモロコシ生産量の中で1パーセントにも満たないマイナーな存在です。多くのトウモロコシはフィールドコーンとも呼ばれ、世界各地で家畜飼料(約6億トン)として利用され、トウモロコシ粉などの主食原料やデンプンの原料などとしても利用されています。そして約7000万トンが生産国から消費国へと輸出されていて、米国はその半分以上に当たる約5000万トンを輸出しています。ちなみに、米国では年間約3億5000万トンのトウモロコシが生産され、約1億3000万トンが家畜飼料、約1億3000万トンがそのほかの用途として国内消費されています。大まかに言って、米国で生産されるトウモロコシの約15パーセントの5千万トン弱が輸出に回り、その約30パーセント、すなわち全米のトウモロコシ生産量の約5パーセント弱にあたる約1200万トンが日本向けであると考えてもよい のです。

米国の飼料用トウモロコシ畑

 

トウモロコシからのエタノール生産と併産物のDDGS

穀類を原料としたバイオエタノールの生産は世界各地で行われており、それぞれの地域で多く収穫されている穀類(米国ではトウモロコシ、カナダやEUでは小麦)が利用されており、日本でも量的には少ないもののコメを用いたエタノール生産が行われています。(続きを読む…

Q. 家畜用飼料原料として使われている原料はどんな国から輸入されているのですか?

日本の家畜用配合飼料の原料として多く使われているトウモロコシ、大豆油かす、魚粉の輸出国別の推移は図に示したとおりです(財務省:貿易統計) 。

トウモロコシの主要国別輸入量(万トン)

大豆粕の主要国別輸入量(万トン)

魚粉の主要国別輸入量(万トン)

配合飼料について

Q. 配合飼料にはどんな種類があるのですか?

家畜毎、発育段階毎にそれぞれに適した栄養成分を含有した飼料が製造販売されています。また、季節(寒暑)によって栄養成分の変更や、飼養成績(産卵、成長など)によっても配合する原料の内容が変更されています。
牛用飼料はイネワラや牧草と併用して給与されますが、その他は配合飼料単独で給与されます。主な種類は次のとおりです。同じ種類の飼料でも内容の異なる製品が数多く製造販売されています。

  • 採卵鶏用:幼すう用、中すう用、大すう用、成鶏用(産卵前期・中期・後期用などの種類があります)、種鶏用
  • ブロイラー用:餌付用、肥育前期用、肥育後期用、種鶏用
  • 豚用:人工乳(餌付用、前期・中期・後期用などの種類があります)、子豚用、肉豚用、種豚用(育成用、妊娠期用、授乳期用、雄用などがあります)。
  • 乳牛用:乳用乳、人工乳、育成用、搾乳用(併用する牧草などの内容により給与する配合飼料が異なります)
  • 肉牛用:代用乳、人工乳、育成用、肥育用(ホルスタイン去勢牛用、交雑種用、和牛用などがあります)
  • その他 :うずら用、合鴨用など
  • 養魚用 :ブリ用、タイ用、ウナギ用、トラフグ用、コイ用、アユ用、マス用など魚種毎に配合飼料があります。また稚魚用から始まって発育段階により種々の配合飼料が供給されています。

以上のように生産者の方々は状況に応じた配合飼料を給与し、高い生産性を保つための努力をしています。その要望に応じるため飼料メーカーは大変多くの種類の配合飼料を供給しています。1工場で100~200種類の配合飼料を製造しているところも珍しくありません。

Q. 配合飼料にはどのような形態がありますか?

マッシュ状(粉状)

いろいろな粒度の製品があります。

ペレット状

マッシュ製品を加熱加工し、鉛筆を細長く輪切りにしたような形状にした製品で、直径が2.5mm~8.0mm程度の製品があります。
飼料原料の粒度の違いなどによる製品内の分離・バラツキや、鶏用飼料などでは選り食い(粒度の粗いとうもろこし等を先に食べてビタミンやミネラルなどが多く含まれている粉状の部分を残してしまう)を防ぐことが出来ます。
一般的に飼料をペレット加工することで、摂食量の向上が見込まれ、発育に好影響を与えます。また、加工工程で加熱されることによりデンプン質のアルファ化が進み消化性が高まります(ただし、アルファ化の程度は、エキスパンダー加工*やフレーク加工に比べれば低いものです)。
搬送などにより多少の砕けが発生し粉が出るとは避けられません。
(*ペレット加工よりも高圧・高温加工したもので、デンプン質のアルファ化がかなり高まることで、消化性が向上し、嗜好性も良くなります。膨化し嵩(かさ)が大きい状態になるため、普通はエキスパンダー加工後に粉砕やペレット加工して家畜が食べやすいように処理されます。エキスパンダー加工よりもさらに高圧高熱加工したものが、スナック菓子やペットフードなどに見られるエキストルーダー加工になります)。

クランブル状

ペレット製品を粗砕きにした製品で、製造効率の高い大きいサイズのペレットを砕くことで給与家畜に適した粒度にしています。ペレット加工とほぼ同じ効果が期待できます。

顆粒状

非常に小さな粒状に加工した製品で、主に餌付~離乳時期の子豚に与える人工乳に用いられる加工法です。
幼動物に与える飼料は、粒度は細かく、また、脱脂粉乳などの乳原料を多く配合されており、油脂の添加も多いのが一般的です。そのため、そのままの形状(マッシュ状)では、吸湿や固化し易く、給餌器内壁への付着も起きやすいため、これを防ぐために顆粒化が行われます。
豚の発育初期に与えるためペレット製品よりも細かい状態にしてあり、顆粒化することにより、子豚が食べやすく、嗜好性が高くなるため、よく食べることで発育の度合いも高まります。

フレーク状

トウモロコシや大麦などを加熱圧ペン加工したもので、マッシュ状のものと混合したり(フレーク&マッシュ製品、ペレット状のものと混合(フレーク&ペレット製品)します。
加湿加熱することでデンプン質のアルファ化が促進され、消化製が高まります。また、粒を平たく大きくすることによって、牛の嗜好性が高まります。また、その形状が、牛の第一胃(ルーメン)*に刺激を与え、その働きを良くする効果があります。
(* 牛は4つの胃を持ち、4つの胃のうち一番大きなルーメン内には沢山の有用な微生物等が存在しています。これらの微生物の働きにより鶏豚のような単胃動物が消化し難い繊維質などを有効にエネルギーに変えることができます。また多くのビタミンなども自身で作ることが出来ています)

バルキー状

ヘイキューブなどの牧草や綿実のような繊維に富んだ原料を配合したもので、牛用飼料として使用されます。

代用乳

牛の哺乳期に40~42℃程度の温湯に溶かしてミルクの代用として給与する製品でマッシュ状や微顆粒状になっています。250gを6~8倍に希釈して1日2回給与する方法が一般的ですが種々の給与バリエーションがあります。生後初乳を飲ま せた後5~7週間人工乳と併用して給与します。

Q. 配合飼料の原料にはどんなものがあるのですか?

配合飼料の原料としては、とうもろこし(畜産用飼料では主原料)や麦類などの穀類、大豆粕やナタネ粕などの植物粕、魚粉(水産用飼料では主原料)やポークチキンミール、及び脱脂粉乳・濃縮ホエー等の乳製品のような動物性たん白質、ふすまや脱脂米ぬか、とうもろこしを原料としたエタノール発酵粕(DDGS)などのそうこう類、炭酸カルシウム・りん酸カルシウムなどの主要ミネラル原料、さらにビタミン類や鉄分等の微量ミネラル類、アミノ酸、および抗菌性物質(法律によって認可されたもので使用量や使用期間が定められており、畜産物に残留しないように規制されています)などが使用されています。殆どが輸入または輸入品由来の原料です。また多くの原料は大豆粕(大豆油の搾り粕)のような食品製造の副産物を有効利用したものです。

(一社)日本科学飼料協会「新編飼料原料図鑑」より

Q. 配合飼料は どのように製造されるのですか?

配合飼料製造の流れ配合飼料製造の流れの大筋は右の図のとおりです。

  • 配合飼料は、配合設計に基づいて、ほとんどコンピューター制御によって製造されています。配合設計とは、原料の成分分析を活用して、対象とする家畜などの必要栄養量を満たすように原料の使用比率を定めるもので、家畜の嗜好性や原料コストも加味してコンピューターにより計算される例がほとんどです。
  • 配合の内容や加工方法(微粉砕、液体原料(糖蜜、油脂など)添加、固形化(ペレット化、クランブル化)、フレーク原料や粗飼料原料との混合など)は、飼料メーカーの試験研究に基づいて各社が独自性を持ったノウハウ部分になります。
  • 原料受入時、配合完了時、製品の加工処理完了時、出荷製品など要所要所でサンプリングや品質検査が行なわれています。
  • 製品タンク投入時点で製品の最終形になります。

関連資料

より詳細に知りたい方はこちらをご覧下さい。
・飼料工程の説明
・飼料製造ブロック図(PDF)

Q. 飼料の安全性確保のためにはどのような規制が行なわれているのですか?

配合飼料の安全性を確保するために、大きく分けて行政による規制と民間による自主規制が行なわれています。

行政による規制 の一番根幹となっているのは飼料安全法(飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律)で、この法律に基づき各種の農林水産省令やガイドラインなどが通知されています。またこれらが遵守されているか確認するために各配合飼料工場に対して(独)農林水産消費安全技術センター(FAMIC)や都道府県が立入検査などを行っています。

詳細はコチラをご覧ください。

⇒飼料の安全性確保のための規制について

Q. 安全な飼料を製造するために、配合飼料メーカーはどんなところに重点をおいて管理してい るのですか?

安全な原料を使用することが一番の飼料安全対策となります。この点を最重要視して管理すれば、配合飼料の製造過程で有害物質が混入するリスクは原料由来に比べれば非常に低いと言えます。ただし、抗菌性飼料添加物などのコンタミネーション(抗菌性飼料添加物無添加飼料への抗菌性飼料添加物の混入)、異物異種原料混入、カビの発生、サルモネラ汚染などのリスクは存在しますので、これらの防止には細心の注意を払って製造管理を行っています。
製造過程での基本は5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の徹底です。手順書に基づき製造管理し、工程毎に責任の持てる仕掛品を次の工程に渡し、記録を残すことを基本としています。その ため、通常工程毎にチェックすべき事柄も定められています。
以下に主な重要な管理ポイントを挙げます。

原料購入

● 少なくとも年1回は、海外も含め安全に関して生産・製造管理状況の確認を行っています。また、海外の情報収集にも務め予防保全を図っています。
● 飼料添加物などの採用に関してはMSDS(安全データーシート)を入手し確認して使用開始をしています。
● 適宜先行サンプルを入手して有害物質等の分析検査を行っています。
● 有害物質について、定期的にサーベイランス・モニタリング検査を実施し、安全性確認とリスク評価を実施しています。

原料受入工程

製造の入り口であり、最も重要な管理ポイントです。
● 五感による受入検査で原料の異常の発見に注力しています(異物、カビ、品温、標準品との差異(色、臭い、粒度)などが検査対象になります)。
● サンプリングを行い、適宜分析を行っています(検査項目は、水分、粗たん白質等の栄養成分、サルモネラ、カビ毒などで、それぞれのリスクに応じて検査頻度を定めています。サンプルは一定期間保管しています)。

配合(ミキシング)工程

飼料製造の心臓部分でもあり、製品の完成または加工前の最終工程となるため重要な管理ポイントです。
● 各原料が正しく計量投入されているか、均一に混合されているかのチェックがポイントです。
● 標準サンプルとの照合、混合精度の簡易検査、及びサンプリングと分析検査により確認をしています。分析は原料受入工程とほぼ同じです。サンプルは一定期間保管します。

加熱加工工程

蒸気などで加湿して加工するケースが多いため、乾燥冷却による品温と水分管理を強化し、カビ発生の要因にならぬよう留意しています。

包装工程、出荷工程

この工程は、生産者の方々へ供給する最終段階となりますので、ここでの確認と記録の保存は必須事項となっています。
● 感による確認と、サンプリング・分析検査による確認を行っています。分析項目や頻度は過去の検査結果などを含めてリスク評価をして決めています。
 ● サンプルは一定期間保管。

製品保管管理

製品毎、季節毎に在庫期間の制限を設定し、品質劣化及び酸敗やカビ発生の防止に努めています。
● 害虫やネズミの侵入防止と駆除は重要な管理項目です。

製品のトレーサビリティ

供給した製品が何時、どの原料で何時入庫したものを使用して製造したかを追跡できるよう履歴に関する記録を残しています。
 

異常発生時の対応

万一異常が発生もしくはその疑いが持たれたときには、速やかに供給先などに情報提供すると共に製品回収などを行って、家畜等への給与がなされないような対応がとれるように手順書などを策定し管理しています。

より詳細に内容を知りたい方へ

製造工程別の製品安全の管理ポイント」をご覧下さい。

飼料添加物について

Q. 飼料添加物はどのように指定されているのですか?

新しい成分について飼料添加物の指定を受ける場合には、最初に、① 起源と発見の経緯、外国での許可・使用状況、② 名称や化学構造などの規格、③ 効果を裏付ける基礎試験成績、④ 対象家畜を用いた残留試験成績、⑤ 単回投与毒性や変異原性試験成績、⑥ 有効性、安全性および必要性を検討する上で参考となる資料を農林水産省に提出して事前協議を行う。この事前協議の結果、農業資材審議会の審議に付されることとなった場合には、 申請者は、以下に示す様々な資料を農林水産省に提出し、農業資材審議会において審議が行われ、農林水産大臣に対して飼料添加物としての指定の可否が答申されます。 なお、平成15年7月からは、農業資材審議会での審議の後に、食品安全委員会においてヒトの健康に対する影響についての審議も行われることになったため、飼料添加物としての指定までに多額の費用がかかるばかりでなく、事前協議から指定までに非常に長い期間が必要となっています。

農林水産省が示している「飼料添加物の指定の手引き:平成30年8月 第1.9版」(PDFファイルでご覧いただけます)
英語版はこちらから

 

生菌剤以外の場合

(1)期限または発見の経緯、外国での飼料添加物としての許可状況および使用状況等

(2)規格に関する事項

ア 名称
(ア)一般名
(イ)化学名
イ 化学構造
ウ 製造方法
エ 生物学的、理化学的性状
(ア)性状
(イ)確認試験
(ウ)純度試験
(エ)含量および定量法
オ 飼料中の定量法
カ 経時的変化(飼料添加物および飼料中の当該飼料添加物の安定性)

(3)効果に関する事項

ア 効果を裏付ける基礎的試験
イ 効果を裏付ける野外応用による試験

(4)残留性に関する事項

対象家畜などを用いた残留試験

(5)安全性に関する事項

ア 毒性試験
(ア)一般毒性試験

  1. 単回毒性試験
  2. 反復投与毒性試験(短期)
  3. 反復投与毒性試験(長期)

(イ)特殊毒性試験

  1. 世代繁殖試験
  2. 発生毒性試験
  3. 発がん性試験
  4. 変異原性試験
  5. その他の試験(局所毒性、吸入毒性等)

(ウ)薬理学的試験
(エ)生体内動態(吸収、分布、代謝、排泄、蓄積)に関する試験
イ 対象家畜等を用いた飼養試験
ウ 耐性菌出現に関する試験
エ その他
(ア)自然環境に及ぼす影響に関する試験(植物毒性、魚毒性、環境汚染等)
(イ)その他

生菌剤の場合

(1)期限または発見の経緯、外国での飼料添加物としての許可状況および使用状況等

(2)規格に関する事項

ア 名称
(ア)一般名
(イ)学名
イ 製造方法
ウ 細菌学的性状
(ア)性状
(イ)確認試験(簡易同定法)
(ウ)純度試験(他の細菌等)
(エ)がbb量(生菌数)および定量法(生菌数測定法)
エ 飼料中の定量法
オ 経時的変化(飼料添加物および飼料中の当該飼料添加物の安定性)
カ 製造用菌種の規格
(ア)継代の方法
(イ)保存の方法
キ 品質管理の方法
ク 製剤の物理的性状

(3)効果に関する事項

ア 効果を裏付ける基礎的試験
イ 抗菌性飼料添加物との併用による影響に関する試験
ウ 効果を裏付ける野外応用による試験

(4)安全性に関する事項

ア 菌の分類学的位置
イ 毒性試験
(ア)単回毒性試験
(イ)反復投与毒性試験(短期)
(エ)生体内動態(分布)に関する試験
ウ 対象家畜等を用いた飼養試験
エ 自然環境に及ぼす影響に関する試験

(注)上記の資料作成のための主たる試験の実施方法の概要についてはこちらをご覧下さい(外部リンク)
⇒飼料添加物の評価基準の制定について(独立行政法人 農林水産消費安全技術センター)

Q. 飼料添加物と飼料添加剤にはどんな違いがあるのですか?

飼料添加物とは、「飼料の品質の低下の防止」、「飼料の栄養成分その他の有効成分の補給」および「飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進」の用途に供することを目的として飼料に添加、混和、浸潤、その他の方法により用いられるものであって、農林水産大臣が農業資材審議会の意見を聞いて成分毎に指定されています。

これに対して、「動物用医薬品」は動物の病気の診断、治療などの用途で使用される医薬品で、治療用の抗生物質や合成抗菌剤、解熱鎮痛剤、疾病予防目的のワクチンや消毒薬のほかにも、麻酔剤や鎮静剤など様々なものが農林水産大臣から品目毎に承認を受けています。これらの動物用医薬品の中で飼料に展開、混合、湿潤して投与する薬剤は「飼料添加剤」と呼ばれて おり、獣医師の処方の下で飼料への配合、家畜・家禽への投与が行われており、配合飼料工場で飼料に添加されている飼料添加物とは明確に区別されています。

なお、日本とEUおよび米国では飼料添加物と動物用医薬品の取扱いの規制はかなり異なっています。
例えば抗菌性物質の場合、わが国とEUでは、抗菌性物質をその用途によって飼料添加物と動物用医薬品(飼料添加剤)に区分していますが、米国では飼料に添加して用いられる抗菌性飼料添加物はすべて動物用医薬品としてひとつのカテゴリーで取り扱っています。また、日本では抗菌性飼料添加物の飼料への添加は配合飼料工場で行われ、抗菌性飼料添加剤の添加は農家で行われていますが、EUや米国では原則として配合飼料工場で行われています。さらに、日本では、抗菌性の飼料添加剤の使用は、疾病を発症した動物を対象としているため、治療目的で最長7日間までの投与に限定されており、予防や疾病の制御を目的とした投与は原則的に禁止されていますが、EUでは治療や疾病の制御を目的とした比較的長期間の投与が認められており、さらに米国では、これに発育促進目的も加えた用途がすべて盛り込まれています。

Q. 日本で指定されている飼料添加物にはどのようなものがあるのでしょう?

現在、わが国では156種類の飼料添加物が指定されていますが、その時点での安全性などに関する新しい知見とその成分の特性などを考慮してその適否を農林水産省が判断することになっており、これまでにも、以下のように新規指定、規格の改正、指定の取消などが行われています。

Q. 抗菌性飼料添加物の規制はどのように行われているのですか?

抗菌性飼料添加物を含有する飼料は、搾乳中の牛、産卵中の鶏とウズラ、ならびに、食用を目的として塗擦する前7日間の牛(生後おおむね6月を超えた肥育牛を除く)、豚、鶏またはウズラへの使用が禁止されています。また、畜産物への残留を防止する観点から、抗菌性飼料添加物を添加できる飼料の種類(添加ができるステージ)が決められています。例えば、産卵鶏の場合には、ふ化後20週齢頃から産卵がはじまりますが、抗菌性飼料添加物を含む飼料を給与できるのは中雛期(ふ化後10週)までとなっています。豚の場合は一般的に体重が115kg程度に到達した時点(生後5~7月齢)で食肉用として屠殺されますが、抗菌性飼料添加物を含む飼料を給与できるのは体重約70kgの子豚期までの約4月間で、それ以降の使用は禁止されています。

抗菌性飼料添加物の使用規制

抗菌性飼料添加物の使用規制

抗菌性飼料添加物のカテゴリー

また、抗菌性飼料添加物は、以下の4つのカテゴリーに分類されています。

  1. 抗コクシジウム作用のあるもの(第1欄)
  2. 駆虫作用のあるもの(第2欄)
  3. 成長促進作用のあるもの;主にグラム陽性菌に抗菌活性を示すもの(第3欄)
  4. 成長促進作用のあるもの;主にグラム陰性菌に抗菌活性を示すもの(第4欄)

各カテゴリー内の飼料添加物は、重複を避けるため同一飼料への併用が禁止されています(なお、アルキルトリメチルアンモニウムカルシウムオキシテトラサイクリンとクロルテトラサイクリンはグラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方に抗菌力を示すことから第3欄と第4欄の両方に収載されています)。さらに、第1欄に収載されている抗菌性飼料添加物は主に鶏およびブロイラー用の飼料への添加が認められているものであり、第2欄に収載されているものは豚用の飼料にのみ使用が認められている。したがって、鶏用、ブロイラー用配合飼料およびほ乳期・幼齢期の牛用配合飼料に添加できる抗菌性飼料添加物は最大でも3種類、豚用配合飼料では4種類、肥育期の肉牛容配合飼料では1種類のみとなります。

1. 抗コクシジウム作用のあるもの(第1欄)

アンプロリウム・エトパベート、アンプロリウム・エトパベート・スルファキノキサリン、サリノマイシンナトリウム、センデュラマイシンナトリウム、ナイカルバジン、ナラシン、ハロフジノンポリスチレンスルホン酸カルシウム、モネンシンナトリウム、ラサロシドナトリウム

2. 駆虫作用のあるもの(第2欄)

クエン酸モランテル

3. 成長促進作用のあるもの;主にグラム陽性菌に抗菌活性を示すもの(第3欄)

亜鉛バシトラシン、アビラマイシン、アルキルトリメチルアンモニウムカルシウムオキシテトラサイクリン、エンラマイシン、クロルテトラサイクリン、ノシヘプタイド、バージニアマイシン、フラボフォスフォリポール

4. 成長促進作用のあるもの;主にグラム陰性菌に抗菌活性を示すもの(第4欄)

アルキルトリメチルアンモニウムカルシウムオキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、ビコザマイシン

 

鶏、豚、牛に使用できる抗菌性飼料添加物のステージ別添加量(PDF版でご覧いただけます)

畜産物(食肉、卵)について

Q. 1羽の鶏はどれくらいの卵を産むことができるの?

鶏の体の中で卵ができるまでは、だいたい24時間±1時間くらいかかります。
ですから、ふつう、鶏は1日1個の卵を産むのが限界で、1羽の産卵鶏が生む卵は1年間で最大365個ということになります。

Q. 卵1kgを生むのに必要な飼料の量は?

産卵中の鶏は、1日に約100~120g位の飼料を食べて、1個の卵を産みます。卵1個の重さは、おおよそ60gですから、生まれる卵の約2倍量の飼料を食べていることになります。
したがって、卵1kgができるためには2kg強の飼料が必要ということになります。

Q. 鶏のちがい(肉養鶏と産卵鶏)

鶏は、東南アジアの密林や竹林に生息しているセキショクヤケイに由来していると言われており、卵を産む鶏(産卵鶏=レイヤーと呼ばれます)と、お肉になる鶏 (肉用鶏=ブロイラーと呼ばれます)では品種が違います。

肉養鶏は、とても速く成長し、若い日齢でお肉になります。一方、産卵鶏は、ブロイラーより成長スピードが遅く、卵を産む期間も長くなっています。

Q. 卵から雛(ヒナ)の誕生 ~ 卵の産み始めから終了まで

卵から雛(ヒナ)の誕生

卵が生まれてから雛が孵化するまでには21日間かかります。
孵化した雛は、清潔で温度と湿度を管理した育すう器ですくすくと育ちます。

卵の産み始めから終了まで

孵化した雛が卵を産むまでは、おおよそ140~160日かかります。その間、雛から中雛、大雛へと成長し、最後には卵を産む立派な産卵鶏になります。
本来、産卵鶏の寿命は10年を超えると言われておりますが、年々卵を産む量は減っていき、7~8年程度で卵を産まなくなります。皆さんの食卓に届けられる卵を産む産卵鶏は、最も卵を産んでくれる期間(産卵が開始され てからおおよそ14~16か月程度)飼育されたのち、新しい産卵鶏に更新されます。更新された鶏は、加工食品用の鶏肉として使用されます。

Q. 卵黄の色や卵殻の色の違い

産卵鶏の写真は株式会社後藤孵卵場のホームページから

卵はとても栄養バランスの良い食品です。
「黄身(卵黄)の色が濃いものの方が栄養が多い」、とか、「赤玉(褐色の殻の色をした卵)の方が白玉の卵より、栄養が多い。」と思われているケースがありますが、 実際はどうなのでしょう?

産卵鶏というとたぶん頭に浮かぶ羽毛が白い産卵鶏は白玉を、羽毛の色が褐色の産卵鶏 は赤玉を生みますが、白玉と赤玉では栄養の構成はほとんど変わりません。

卵黄の色の違い

黄身(卵黄)の色は、鶏が食べた飼料の原料に影響していて、トウモロコシ、パプリカやアルファルファ等の油に溶けやすい黄色の色素を多く含む飼料を 食べた鶏は、黄身の黄色味が濃い卵を産みます。

トウモロコシを配合した飼料と、黄色い色素を持っていないお米を配合した飼料を 食べさせた産卵鶏から生まれた卵。卵黄の色は、食べている飼料に含まれている色素に影響されるということが良くわかりますね…

Q. 卵とコレステロール

「卵を食べるとコレステロールが溜まりやすいので、あまり食べない方がよい」というお話が昔からよくありました。しかし、最近になって、学術的にその考え方が変わりました。「卵は1日に2個以上食べても大丈夫」というものです。

食品から摂取するコレステロールは動脈硬化や脳卒中に影響を及ぼすと考えられていましたが、食餌から摂取するコレステロール量と血中の総コレステロール 量には直接的な関係はなく、血中の総コレステロール量は人の体内で調節されることから、厚生労働省は、「日本人の食事摂取基準」を見直し、2015年に1日のコレステロール摂取基準を廃止しました。

コレステロールは私たちの体には、必要不可欠なものです。多すぎても、少なすぎても良くないので、バランス良く摂取することが大事です。