配合飼料の作り方(その2)

表示票に書いてある細かい成分はそれぞれどういう意味があるのですか?

 

表示票には、原料名と配合量の他に、成分量が書かれています。この飼料の場合、粗たん白質が8.5 %以上、粗脂肪が2 %以上含まれていますよと書いてあります。粗たん白質と粗脂肪は飼料の栄養面で非常に重要なものなので、「少なくともこの量は担保してますよ」ということを示すために〇〇%以上で示されています。
これに対して、粗繊維は5 %以下、粗灰分は15 %以下と書かれていますが、例えば、粗灰分っていうのは燃やしたら灰になってしまう無機物のことで、この中にはカルシウムとかリンみたいに家畜に対して必要なものもありますが、必要でないものも多いために、このような成分は「最大でもこれだけしか入っていませんよ」という意味で〇〇%以下と表示されるようになったのです。

粗灰分というのは、燃やしたら灰になるものということですね。

 

飼料を化学的に分析するときには、水分、粗たん白質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分の量を測ります。これらの成分の合計を全体から引いた部分は、「可溶無窒素物」と呼ばれていて、英語ではNFEと呼ばれるもので、食品でいえば炭水化物に相当します。

 

炭水化物ってデンプンのことですか?

 

ほぼそう考えてよいですね。
栄養学では、たん白質と脂肪と炭水化物の三つを三大栄養素と呼んでいます。これに、副栄養素って呼ばれるビタミンとミネラルを足したものを五大栄養素とも呼びます。栄養士の試験の過去問なんかには、「五大栄養素とは何ですか」とか、あるいはそれに水を加えた六大栄養素とは何ですかというのが出てきます。このうち、たん白質と脂肪と炭水化物の三つはエネルギー源として利用されるために三大栄養素と呼ばれているんです。三大栄養素のうち、脂肪と炭水化物は、炭素と水素と酸素だけでできていて、基本的に家畜にしても人にしても、純粋にエネルギー源として使われるんですが、たん白質には炭素と水素と酸素の他に窒素を含んでいて、エネルギー源として使われるほかにも、例えば筋肉などの体タンパク質合成に使われたり、体の中の代謝に関係するいろいろな活性物質を作ったりしてることから、同じ三大栄養素っていっても、脂肪や炭水化物と、たん白質は少し性格が違うのです。また、さっき言った可溶無窒素物っていうのは、脂肪とは違って水に溶けやすくて、たん白質みたいに窒素を含まないもの(=炭水化物)を指しています。
この三大栄養素や五大栄養素が理想的な割合で配合されているのが配合飼料です。

そのほかにも、表示票にはいくつか物質名が書いてありますが

 

この表示票では、含有する飼料添加物として、プロピオン酸カルシウムとエトキシキンを配合していると書かれています。プロピオン酸カルシウムは、カビが発生するのを防ぐために使われているもので、湿度が高くなってカビが生えやすくなる6~9月に使いますよと書いてあります。また、エトキシキンは飼料の酸化、つまり、脂肪などの変敗を防ぐために使われているものです。畜産農家の人はこのような表示票を見て、飼っている家畜にあっているかなどを判断しているんです。

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