《日本の取組み、続き》
6番目はエコフィードになります。エコフィードはフードロスになる食品残渣の活用で、最近になってフードロスを減らそうという大きな目標が出てきています。本来はフードロスを減らすべきですが、出てきてしまう残渣の利用を考える必要はあると思います。コンビニエンスストアや食堂は、衛生管理上、余った食材は全部捨てます。その際には、生鮮食材も加工品も一切合切が一緒に混ざっています。リサイクルの際に分別していればいいのですが、中にはいろいろなものが入っています。家庭のゴミも何種類かに分別しているところもありますが、まだ少なく、導入されている地域でも、各市町村でそのやり方はバラバラです。ヨーロッパではわかりやすく色分けされ、マークが付いていて、黙っていてもできるようになっています。また、業者での委託で回収されて、その先がどうなっているかということもよくわかります。配合飼料への利用も、そのための回収などのビジネスもできるのではないかと思います。
エコフィードに関するもう一つの衛生管理の観点は、CSF(豚熱)に代表されるような家畜伝染病に関するものです。中国から持ち込まれるソーセージや豚肉類の中から、ASF(アフリカ豚熱)が見つかったりしたということがあり、その点の衛生管理も必要だと思われます。きちんとした熱加工処理がされないと、ウイルスがそのまま入ってくる可能性が高まり、そこからまた病気が発生するということもあり得ます。また、和食の残渣にもリスクが存在します。和食がブームで、生魚は全部刺し身で食べられますが、それはきちんとウイルスや寄生虫などについても分かるような衛生管理がされているからです。ところが、イカにはアニサキスがいます。なぜイカを細かく切るかというと、鮮度がよくて透明ならば、アニサキスがいるか肉眼で分かるからです。このような魚系の残渣を使用する場合も、有害細菌等を防除する観点が必要です。
7番目の家畜の排せつ物処理についても、環境問題として大きなテーマになるかもしれません。日本国内で年間2,400万トン弱製造している配合飼料の原料のほとんどは海外から輸入してきて、ふん尿として日本の国土に排泄している状態なので、そういう意味からしてもこては非常に大きな環境負荷になっていると考えることもできます。あるいは、減らすのではなく、堆肥を製造して輸出することも考えられます。
(土橋裕司)
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