飼料産業の最近の取組み~SDGsの観点より~ vol.2(国際飼料産業連盟の取組み)

《IFIFの取り組み》
もう一点、世界の飼料業界の集まりであるIFIF(International Feed Industries Federation、国際飼料産業連盟)では、毎年1回世界大会を開催して、いろいろな内容を話し合っているのですが、この大会で議論になったのは、大きな世界的な動きとして、2050年に90億人から96億人に増加するともいわれる人口増加に対して、いかに動物性たん白質を供給していくのかの取り組みです。
人口増加に伴って、動物性たんぱく質の供給量は現在の1.6倍必要だということになります。そのために、①サステナビリティ(持続可能性)、②規制と世界標準、③啓蒙教育と適正製造標準の共有という「IFIFの三つの柱」を設定しています。世界共通の飼料関連の基準、啓蒙教育と適正製造をしていきましょうということです。
それではSDGsの取り組みはどういうことになっているかというと、IFIFの認識としては、飼料、それから畜産分野が、環境負荷に対しては非常に大きな責任があるべきだとしています。また、社会的にも、畜産業界と飼料業界が環境に対して、しっかり責任を果たしていくべきという圧力があります。そのためにはこの環境フットプリントの測定方法としてしっかりハーモナイズした方法をつくって、全世界で皆、各国が共通の物差しで測るようにしようという動きを、現在しているところです。これはまだ最終的には完成していません。今まさに作業をしているところです。ただここ1、2年ぐらいには出来上がってくると聞いています。

SDGsというのは持続可能な開発目標で、国連が取り組んでいるものです。この点でも、世界の家畜飼料の業界としては、IFIFがまとめていこうというイニシアチブを取っています。ここに示したSDGsの17のテーマに関して、特に飼料が関係するだろうというのが、その赤丸を付けたところです。さらにもう少し専門的な話をすると、先ほど言ったフットプリントなどのデータを集めていく中で、このLCA(Life Cycle Assessment)、特に飼料産業だけではなくて、一般共通でいわれていることですが、原材料から加工、製造、物流、消費して再利用する、さらに、廃棄までの、一連の過程における環境負荷がどのぐらいあるものかというのを明確にして、その改善策をしっかりとステークホルダーと協議検討するという手法やデータベースを、今、開発しているところです。さらにそれに関連したGlobal Feed LCA Instituteが、世界全体の飼料産業の関連する部分をしっかり評価して、より正確なデータを取って、それをさらにデータベースにフィードバックして、改善していくということを目指しています。このようなLCAの取り組みを通じて、SDGsの中の環境負荷に対するしっかりした評価ができるように努力しています。
この取り組みの下での個別の取り組みをお話ししましょう。まず、SFIS(Specialty Feed Ingredient Sustainability)というプロジェクトがあります。これは、今まで使っていなかったような新規の機能性原料を探すことによって、環境負荷低減につなげるとか、新たな飼料原料として活用していこうというプロジェクトです。さらに、畜産分野での実際の家畜の環境の影響評価をするというのが、LEAP(Livestock Environmental Assessment & Performance)というもので、これは、実際に飼育飼養のほうの環境の影響を評価しようという取り組みです。

(土橋裕司)

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