食肉と飼料のはなし(牛肉編)

(1)歩留まり(1頭の牛からどのくらいの量の肉がとれる?)

国産牛には、和牛、交雑種牛(乳牛のメスと和牛のオスを掛け合わせて生まれた牛)、乳用種去勢牛(乳牛のオス)がありますが、ここでは、広く流通している交雑種牛の例をご紹介します。

肉牛は、体重がおおよそ800kgになった時点で出荷されますが、スーパー・マーケットなどの店頭で販売されているパック包装された牛肉(精肉)となるのは250kg弱で、出荷時の体重(生体)の3割程度になります。

これは、草食動物である牛は4つの胃を持つなど、消化器官が非常に大きく枝肉歩留(生体重に対する枝肉の割合)が豚に比べて低いこと、大きな体躯を支えるために骨の重量も重いことが要因になっています。

(2)飼育期間と給与される飼料の量

もともと草食動物である牛は、豚と違って配合飼料のほかに粗飼料(乾牧草や稲ワラなど)が必要になります。

和牛

松坂牛、神戸ビーフなどに代表される肉牛専用種(そのほとんどが黒毛和種と呼ばれる種類)で、国産牛肉の中でも最も高価なものになります。

  • 肥育期間は約30か月と非常に長く、約750kgになった時点で出荷されます。
  • 生後7か月以降が肉をつけるための肥育期で、大きく「肥育前期」、「肥育中・後期」、「仕上期(脂をつけるなど、肉としての完成度を高めるために、じっくり育てる期間)」に分けられます。それぞれの時期での飼料給与量や増体量は以下の表に示すとおりとなります。

乳用種去勢牛

牛乳を絞る牛(ホルスタイン種)のオス子牛を去勢して肉用牛として育てたものです。去勢するのは、肉に雄臭が残るのを防いだりするためで、他の肉牛や豚でも同じ処置をしています。和牛にように脂はのらず、赤身の多い肉になります。

  • 肥育期間は約20か月と和牛に比べて10か月程度早く、約780kgになった時点で出荷されます。
  • 生後7か月以降が肉をつけるための肥育期は、大きく「肥育前期」、「肥育後期」に分けられ、それぞれの時期での飼料給与量や増体量は以下の表に示すとおりとなります。

飼育期間と給与される飼料の量(乳用種去勢牛)

交雑種牛

乳用種の発育の速さと、和牛の肉質の良さを取り入れた牛で、利点はそれぞれの中間程度になります。

  • 肥育期間は約26か月で、約800kgになった時点で出荷されます。
  • 生後7か月以降が肉をつけるための肥育期で、和牛と同じく「肥育前期」、「肥育中・後期」、「仕上期」に分けらています。それぞれの時期での飼料給与量や増体量は以下の表に示すとおりとなります。

飼育期間と給与される飼料の量(交雑種牛)