Q. 飼料添加物と飼料添加剤にはどんな違いがあるのですか?

飼料添加物とは、「飼料の品質の低下の防止」、「飼料の栄養成分その他の有効成分の補給」および「飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進」の用途に供することを目的として飼料に添加、混和、浸潤、その他の方法により用いられるものであって、農林水産大臣が農業資材審議会の意見を聞いて成分毎に指定されています。

これに対して、「動物用医薬品」は動物の病気の診断、治療などの用途で使用される医薬品で、治療用の抗生物質や合成抗菌剤、解熱鎮痛剤、疾病予防目的のワクチンや消毒薬のほかにも、麻酔剤や鎮静剤など様々なものが農林水産大臣から品目毎に承認を受けています。これらの動物用医薬品の中で飼料に展開、混合、湿潤して投与する薬剤は「飼料添加剤」と呼ばれて おり、獣医師の処方の下で飼料への配合、家畜・家禽への投与が行われており、配合飼料工場で飼料に添加されている飼料添加物とは明確に区別されています。

なお、日本とEUおよび米国では飼料添加物と動物用医薬品の取扱いの規制はかなり異なっています。
例えば抗菌性物質の場合、わが国とEUでは、抗菌性物質をその用途によって飼料添加物と動物用医薬品(飼料添加剤)に区分していますが、米国では飼料に添加して用いられる抗菌性飼料添加物はすべて動物用医薬品としてひとつのカテゴリーで取り扱っています。また、日本では抗菌性飼料添加物の飼料への添加は配合飼料工場で行われ、抗菌性飼料添加剤の添加は農家で行われていますが、EUや米国では原則として配合飼料工場で行われています。さらに、日本では、抗菌性の飼料添加剤の使用は、疾病を発症した動物を対象としているため、治療目的で最長7日間までの投与に限定されており、予防や疾病の制御を目的とした投与は原則的に禁止されていますが、EUでは治療や疾病の制御を目的とした比較的長期間の投与が認められており、さらに米国では、これに発育促進目的も加えた用途がすべて盛り込まれています。