(消化率)
家畜は与えられた飼料に含まれている栄養素を全て体内に消化できる訳ではなく、どのような飼料でも、含まれている栄養素の一部は全く利用されずに糞中に排泄されてしまいます。
消化率は、摂取した栄養素のうち家畜が消化できた量の割合を示すもので、摂取したたん白質やエネルギーの総量から糞として排出された量を差し引いて、パーセントで示されます。
(エネルギーの分配)
飼料を燃やした時に得られる総熱量を総エネルギー(GE)と呼びますが、そのすべてが見につくわけではなく、飼料として摂取したGEの3割弱程度が基礎代謝や発育、運動、泌乳などに使われるのです。
- 可消化エネルギー(DE):GEの中で、上述の消化率と同様に、実際に家畜が消化できたエネルギー(糞として排出されなかったエネルギー)を可消化エネルギー(DE)と呼びます。図に示したように、ごく一般的な飼料を子豚に与えた場合、飼料が持っているGEのうち、DEが消化され、残りの33%は糞に排泄されると言われています。
- 代謝エネルギー(ME):三大栄養素と呼ばれるたん白質、脂質、炭水化物のうち、脂質と炭水化物由来のエネルギーはそのまま家畜に利用されます(ME=DE)。しかし、たん白質では、含まれている窒素が体内で有毒のアンモニアを生じるため、これを無毒の尿酸や尿素に変えて体外に排出する必要があり、この分のエネルギーが必要になります。図に示したように、子豚の場合は、GEの3%程度に相当します。これら家畜が利用できなかったエネルギー量をDEから差し引いたものを代謝エネルギー(ME)と呼んでいます。
- また、牛などの反芻家畜では、胃の中で生産されるメタンのエネルギーなども家畜が利用できません(図では示してありませんが、GEの8%程度と言われています)。
- 正味エネルギー(NE):MEから、飼料摂取に伴う動作や、消化管内で行われる栄養素の代謝などに伴って発生するエネルギー(GEの37%程度に相当します)を差し引いたものを正味エネルギー(NE)と呼んでおり、基礎代謝(絶食安静時に必要なエネルギー)、発育、運動、泌乳などに使われています。