飼料用米について思うこと

 私は、農業や飼料に直接的に関与していない一般の消費者ですが、平成27年3月末に閣議決定された新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に、審議会委員としてかかわってきました。この基本計画には、飼料用米の大幅な生産拡大が明記されました。
 飼料用米は、主食用米からの作付転換は比較的容易だと認識しています。日本の畜産業にとって、国産飼料生産が増えることはコストパフォーマンスが良ければ良いことだろうし、国産志向の消費者のためになるだろうと思いました。後で知ったことですが、食用米から飼料用米への作付転換は比較的容易だけど、その逆は困難らしいとのことです。
 飼料用米の制度の中で一番の疑問点は、補助金なしにはこの仕組みが成り立たないということが最初から明白であるにもかかわらず、なぜそこまでして進めなくてはいけないのかということでした。いろいろな理由があったと思いますが、今、思い返すと明確な答えが思い浮かんできません。
 審議会の中でも飼料米の農家や畜産農家から「補助金はいつまで続くのですか」「本当に国を信用していいのでしょうか」と不安視している声を多々聞きました。そのたびに、官僚のお答えは、「大丈夫です。ちゃんとやりますから」というものでした。私にはそれ以上の切り込みは残念ながらできませんでした。
 そうでなくても、過保護とか、補助金頼みの農業といわれ続けている日本の農業に、新手の補助金制度が導入されました。今更ですが、この飼料用米制度は本当に日本の農業に役立つのでしょうか。補助金は、国民の税金で賄われるのですから、今後も莫大な補助金を必要とするデメリットとメリットについて、もっと知っておくべきでした。すでに退任していて発言の機会はありませんが、補助金に依存しないで継続できる農業・事業への転換の道筋を検討し、示すことが必要なのではないかと思うこの頃です。
 実は、農業に直接関係しない多くの消費者はこのような農業政策のことをあまり知らないと思います。加えて、家畜のえさである飼料についても消費者はあまり関心を持っていないように思いますので、このホームページから消費者に役立つ情報が提供され、飼料の問題にも消費者の目が向けられるようになることを期待したいと思います。

<参考>飼料用米について

農林水産省の飼料用米の利用に関するQ&Aより引用
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/jukyu/img/siryoyomai.html
Q:飼料用米は家畜にとってどのような飼料ですか。
A:飼料用米は、水田を活用して生産できる優れた飼料です。
 現在、玄米の形態で利用されることが多いですが、玄米と家畜飼料として広く用いられているともろこしを比べるとほぼ同等の栄養価で、 家畜にとって優れたエネルギー供給源となります。このため、畜種毎に留意した上で、とうもろこしの代わりに一定割合の給与ができます。

(市川まりこ)