Q. 安全な飼料を製造するために、配合飼料メーカーはどんなところに重点をおいて管理してい るのですか?

安全な原料を使用することが一番の飼料安全対策となります。この点を最重要視して管理すれば、配合飼料の製造過程で有害物質が混入するリスクは原料由来に比べれば非常に低いと言えます。ただし、抗菌性飼料添加物などのコンタミネーション(抗菌性飼料添加物無添加飼料への抗菌性飼料添加物の混入)、異物異種原料混入、カビの発生、サルモネラ汚染などのリスクは存在しますので、これらの防止には細心の注意を払って製造管理を行っています。
製造過程での基本は5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の徹底です。手順書に基づき製造管理し、工程毎に責任の持てる仕掛品を次の工程に渡し、記録を残すことを基本としています。その ため、通常工程毎にチェックすべき事柄も定められています。
以下に主な重要な管理ポイントを挙げます。

原料購入

● 少なくとも年1回は、海外も含め安全に関して生産・製造管理状況の確認を行っています。また、海外の情報収集にも務め予防保全を図っています。
● 飼料添加物などの採用に関してはMSDS(安全データーシート)を入手し確認して使用開始をしています。
● 適宜先行サンプルを入手して有害物質等の分析検査を行っています。
● 有害物質について、定期的にサーベイランス・モニタリング検査を実施し、安全性確認とリスク評価を実施しています。

原料受入工程

製造の入り口であり、最も重要な管理ポイントです。
● 五感による受入検査で原料の異常の発見に注力しています(異物、カビ、品温、標準品との差異(色、臭い、粒度)などが検査対象になります)。
● サンプリングを行い、適宜分析を行っています(検査項目は、水分、粗たん白質等の栄養成分、サルモネラ、カビ毒などで、それぞれのリスクに応じて検査頻度を定めています。サンプルは一定期間保管しています)。

配合(ミキシング)工程

飼料製造の心臓部分でもあり、製品の完成または加工前の最終工程となるため重要な管理ポイントです。
● 各原料が正しく計量投入されているか、均一に混合されているかのチェックがポイントです。
● 標準サンプルとの照合、混合精度の簡易検査、及びサンプリングと分析検査により確認をしています。分析は原料受入工程とほぼ同じです。サンプルは一定期間保管します。

加熱加工工程

蒸気などで加湿して加工するケースが多いため、乾燥冷却による品温と水分管理を強化し、カビ発生の要因にならぬよう留意しています。

包装工程、出荷工程

この工程は、生産者の方々へ供給する最終段階となりますので、ここでの確認と記録の保存は必須事項となっています。
● 感による確認と、サンプリング・分析検査による確認を行っています。分析項目や頻度は過去の検査結果などを含めてリスク評価をして決めています。
 ● サンプルは一定期間保管。

製品保管管理

製品毎、季節毎に在庫期間の制限を設定し、品質劣化及び酸敗やカビ発生の防止に努めています。
● 害虫やネズミの侵入防止と駆除は重要な管理項目です。

製品のトレーサビリティ

供給した製品が何時、どの原料で何時入庫したものを使用して製造したかを追跡できるよう履歴に関する記録を残しています。
 

異常発生時の対応

万一異常が発生もしくはその疑いが持たれたときには、速やかに供給先などに情報提供すると共に製品回収などを行って、家畜等への給与がなされないような対応がとれるように手順書などを策定し管理しています。

より詳細に内容を知りたい方へ

製造工程別の製品安全の管理ポイント」をご覧下さい。