トウモロコシの話

トウモロコシ・・・皆さんはお好きでしょうか?「そうそう、最近のトウモロコシは甘みが強くておいしよね!」という方も多いでしょう。残念ながら、ここで取り上げるトウモロコシは・・・焼きトウモロコシや茹でて食べるトウモロコシ(これらはスイートコーンという種類です)とは違う種類のトウモロコシです。トウモロコシには、もう一つ、私たちに身近な品種があります。そう、ポップコーンです。これは「爆裂種」と呼ばれる、その名前の通り爆発する(英語でポップする)品種で、スイートコーンとも、これからお話しするトウモロコシとも違う品種です。

これからお話しするトウモロコシは、主に家畜の飼料やデンプンの原料、そしてトウモロコシ粉として使われる品種です。このトウモロコシは「フィールドコーン」や「コモディティコーン」などとも呼ばれます。品種としては、主なものはデント種(デントコーン)とフリント種(フリントコーン)になります。日本では牛の飼料としてトウモロコシの実(子実)、茎、葉などの植物体全体を使うために主に北海道で広く栽培されていますが、その実を飼料や食品の原料として使うために収穫することはごく一部で行われているにすぎません。トウモロコシの実を収穫するためには、畑の上で枯れさせて収穫するのに対して、植物体全体を利用する際には、まだ緑のうちに刈り取ります。そのため、全体を牛用の飼料(粗飼料)として利用するトウモロコシを青刈りトウモロコシとも呼びます。ちょうど、枝豆は大豆を緑のうちに収穫するに対して、いわゆる大豆は枯らせてから収穫するのと、タイミングとしては似ています。
 スイートコーンが甘くておいしいのに対して、デント種やフリント種のトウモロコシはそのままでも、また、茹でて食べても甘くありません。これは、トウモロコシ中に含まれているデンプンが糖化していないからです。熟したトウモロコシの実を割ってみると、白い粉が出てきます。これがデンプンです。デンプンは口の中で噛んでいると唾液の中のデンプン分解酵素(アミラーゼ)によって糖化して甘くなってきます。
世界最大のトウモロコシ輸入国はどこでしょうか?。アメリカ?、中国?、それともロシア?、いずれも答えは「No」です。実は日本が世界で最大の輸入国なんです。私たちの目に触れるのは多くがスイートコーンで、あまり実感がわきませんが、日本国内の消費量は2016年の1年間で約1,530万トン、そのうちの1,143万トンがアメリカから輸入されています。国民一人当たりにすると約115キログラムにもなります。これは、同じ穀物のコメと小麦の消費量を合わせた量よりも多いのです。

それでは、これほど大量のトウモロコシが、どこでどのように消費されているのか、もう少し詳しく見てみましょう。
トウモロコシの国内使用量の75.8%が、主に豚・牛・鶏などの家畜の飼料として消費されています。家畜たちはトウモロコシをもりもり食べて栄養を付け、その生産物が私たちの食卓に運ばれてくるのです。たとえば、朝食を思い出してみましょう。テーブルの上に並んでいる卵、牛乳、ハムやソーセージは、すべてトウモロコシがかかわっています。トウモロコシの入った飼料で育った牛のお乳が牛乳に、同じく豚のお肉がハムやソーセージに、そして鶏は卵を産んでいるのです。私たちの目に触れないために、あまり知られていませんが、トウモロコシは私たちの食生活に深くかかわっているのです。

トウモロコシは、家畜の飼料としてだけでなく、加工用として全消費量の23.5%が使われています。主に、トウモロコシの主成分であるデンプンを取り出してコーンスターチとして使われるほか、デンプンを原料とする甘味料や、ケチャップやドレッシングなどの調味料や粉末スープの原料としても使われています。デンプンは食品だけではなく、紙や段ボール製品加工時の接着剤やDVDディスクの原料としても使われています。また、デンプン以外の成分も利用されます。たとえばタンパク質成分は家畜のタンパク源として供給され、油分は絞られてコーン油として使われます。そして唯一、直接私たちの目に触れるのが全体の1%を占めるコーンスナックなどの食品です。これらの食品は、トウモロコシの粗い粒(コーングリッツ)や粉(コーンフラワー)を原料として作られています。このように、私たちの生活はトウモロコシなしでは成り立たちません。それでは、トウモロコシはどのような人たちが作っているのでしょうか?アメリカでトウモロコシ栽培を行っているディック・ギャラハーさんのお話を紹介します。

ギャラハーさんは、アメリカ中西部のコーンベルトと呼ばれるトウモロコシと大豆の大産地の中心にあるアイオワ州で40年にわたり農業に従事し、最近はトウモロコシと大豆の輪作を息子さんと一緒に行っています。ギャラハーさんの農場はアイオワ州南東部に位置していて、中西部の大都会シカゴから350キロ西に位置しています。ちょうど直線距離にして東京と京都くらいの距離になります。ギャラハーさんの農業経営は、典型的なアメリカの家族農業で、ギャラハーさんその3代目になります。毎年8月くらいになると、畑のトウモロコシは列が非常にきれいに整列されていて、しっかりと立って生育します。

ギャラハーさんの農地の面積はおおよそ350ヘクタールあります。その広大な農地で、トウモロコシと大豆の輪作をしているのです。育てているトウモロコシと大豆のすべてがいわゆる遺伝子組み換え品種です。雑草取りや害虫駆除といった農作業の手間が激減したので、4代目になる息子のライアンさんにも自信を持って農業経営を薦められるようになりました。遺伝子組み換え技術だけでなく、ITやGPSも含めた新しい技術を積極的に活用することによって乾燥、害虫、雑草などの問題を解決し、さらに収量を上げていきたいとギャラハーさんは考えています。

ギャラハーさんによると、アイオワ州で生産されるトウモロコシのおおよそ4割がエタノール生産に利用されています。トウモロコシ生産量で全米トップのアイオワ州はエタノール生産でも全米トップの州です。また、26パーセントが飼料生産に使われます。そのうちの55%が、アイオワ州で盛んな養豚飼料です。そのほかにも、肉牛、あるいは乳牛などの飼料としても使われます。そして、アイオワ州産のトウモロコシの15パーセントが海外に輸出されています。全米でのトウモロコシの用途を見てみると、34パーセントが家畜飼料用、エタノール利用の比率は下がっていて35%とのことです。エタノール生産によってできる酒粕のような粕はDDGSと呼ばれますが、これは家畜飼料として戻ってきます。ですので、エタノール生産に使われるトウモロコシは、そうやって飼料として戻ってくる分を差し引くと27パーセントになります。エタノール以外の産業利用は9パーセント、そして輸出が11%となっています。トウモロコシの収穫は12月の第1週までを目途に完了するのが理想的です。収穫が終わっても、次の年のトウモロコシの生産のために、畑に肥料をまいたり植える種子を選んだり、春先に向かっての作業が続きます。

ギャラハーさんによると、アイオワ州で生産されるトウモロコシのおおよそ4割がエタノール生産に利用されています。トウモロコシ生産量で全米トップのアイオワ州はエタノール生産でも全米トップの州です。また、26パーセントが飼料生産に使われます。そのうちの55%が、アイオワ州で盛んな養豚飼料です。そのほかにも、肉牛、あるいは乳牛などの飼料としても使われます。そして、アイオワ州産のトウモロコシの15パーセントが海外に輸出されています。全米でのトウモロコシの用途を見てみると、34パーセントが家畜飼料用、エタノール利用の比率は下がっていて35%とのことです。エタノール生産によってできる酒粕のような粕はDDGSと呼ばれますが、これは家畜飼料として戻ってきます。ですので、エタノール生産に使われるトウモロコシは、そうやって飼料として戻ってくる分を差し引くと27パーセントになります。エタノール以外の産業利用は9パーセント、そして輸出が11%となっています。トウモロコシの収穫は12月の第1週までを目途に完了するのが理想的です。収穫が終わっても、次の年のトウモロコシの生産のために、畑に肥料をまいたり植える種子を選んだり、春先に向かっての作業が続きます。

ギャラハーさんは、トウモロコシの生産者として飼料の原料として利用している配合飼料生産者や、それを家畜に食べさせている畜産生産者、そして畜産物をおいしく食べてもらっている消費者の方たちに、いつも感謝の思いを持ってトラクターやコンバインに乗っています。自身の生産したトウモロコシが地球の裏側にまで運ばれて利用されていることに大きな喜びを持ってトウモロコシを生産しています。

        

(浜本哲郎)